シェルター獣医師通信~神石高原の風景 vol.2

2015年8月

 

 こんにちは獣医師の藤原です。今日は病気の話は控えめにして、こちらに来た春から夏の終わりまでに私の感じた「神石高原の風景」をお伝えします。

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冬は道が凍ると聞いて買い換えたばかりの四駆に満載の荷物と愛犬さくら(パピヨン:♂8歳)を乗せて東京から西へ約800km、広島県神石高原町に着いたのは3月末の夜も9時を過ぎていました。関東は桜が咲き始めたくらいの陽気だったと思いますが、その晩の神石高原は気温0℃。持参した布団と電気ストーブだけでは寒さを凌げず、部屋にあった座布団をマット代わりにお借りして、靴下を重ねジャケットなど外を歩く恰好のまま、さくらを湯たんぽがわりに抱え、ガタガタ震えながら寝たのを覚えています。寒さはしばらく続き、4月に知人が訪ねてきた時も朝は-1℃でした。でも多分これがここの普通。

夏には周りに光を発する民家もなく、満天の星空にしばし感動していました。お盆の頃にわざわざ流星群を見に来た方がいましたが、流れ星なら普段でも見かけます。着いたばかりの私も同じで、後日に当時1ヶ月間同居していたスタッフに「あの時は星ばかり見ていて、こっちはもう眠いのに結構待たされた」と愚痴られました。

そして暗い。街に住んでいると夜でもどこかに明かりがあって、星を見ようにも暗がりを探さねばなりませんが、こちらは明かりがそもそも少ないので、闇の暗さ、月夜の明るさを実感します。シェルターで遅くまで仕事して、夜勤スタッフも宿泊トレーラーに引っ込んだあと、試しに全ての明かりを消してみたら、まさに一寸先も見えない。数歩離れた自分の車に体当たりしてしまいました。なので、引越したばかりの時は家の明かりが届く範囲しか散歩できなかったので、初めは車で30分ほど山を降り、福山の24時間スーパーの周りを買い物ついでに散歩していました。今は国道沿いの街灯がある集落に引っ越したので、懐中電灯なしでも散歩出来ます。

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GREENDOGで出会うのは小型犬中心の家庭犬が多いのに対し、保護犬は柴犬くらいの中型犬が中心です。さくらは元々自分より大きい犬は苦手でしたが、この5カ月で少しは慣れたようです。一部の大型犬には、5kg以下の小型犬では獲物に見えるようで、ドッグランの垣根越しに鋭い視線を投げられていますが、そういう子は相手せずに通り過ぎる。シェルターの隣にこの夏オープンした「神石高原ティアガルテン」という公園には牛やヤギがおりますが、こちらには物おじせず近づいて行きます。夜の散歩も、今では自ら暗がりに歩いて行き、マムシに出くわさないか心配なほどです。

不思議なことに、お盆までの4カ月間一度もシャンプーしなかったのに、さほど汚れませんでした。食べものが変わったわけではありません。朝晩していたブラッシングも週二回ほどです。土の上を散歩することが多くなり、足はそれなりに汚れます。でも以前は毎月のシャンプーを怠るとグレーのパピヨンになっていたのに、こちらでは体は白いまま。街中での散歩は、やはり排気ガスなどで汚れていたのでしょう。散歩後の足ふきで、雑巾の汚れ具合が違います。国道沿いに引っ越して車道も散歩コースですが、交通量の違いでしょうか。小型犬は特に地面に近いので、そう考えると東京では汚れもさることながら、ずいぶん排気ガスを吸い込んでいたのではないかと怖くなりますね。

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さて、神石高原でもさすがにお盆前は30℃を超す暑さでしたが、朝晩は涼しく、早起きしなくても朝の散歩が出来るのはありがたいです。関東では道路が熱くなって厳しかったので朝は6時に散歩していました。シェルターに住む保護犬たちは各部屋エアコン付なので、エアコンのない我が家より快適だったかもしれませんが、「暑い夏」は二週間ほどでした。そろそろ朝晩は寒くなってきました。日中との寒暖差が大きく、朝はたいてい草花が濡れています。雨が降るとその後は雑草がすごい勢いで背を伸ばし、草刈り機の音があちこちで聞こえたのもこちらならではの夏の光景でしょう。そのうち寒くなって枯れるそうですが、我が家の庭も数日かけて草刈りしたのに、さくらが走り回れたのはひと月ほどで、今やまたジャングルです。

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シェルターでもしょっちゅう草刈りしていました。ドッグランはお客さんの利用もあるので定期的に草刈りしています。先日夕方にシェルターに戻ると、平日だったのでお客さんもおらず、ドッグランに保護犬たちが大勢出ていました。その数23頭。子犬から老犬まで一度に出して、そこここで小競り合いもあり、子犬には社会化の良い機会、問題児には教育の場、老犬には刺激になるので、時々こうするそうです。 7月のパルボ騒ぎで入舎した子も、そこに交じって元気に走り回っていました。乳飲み子だった5頭もいました。彼らも今や体重3kgを超え、部屋の中ばかりでなくこうやって土や草を経験し、他犬にいじられ、急成長中です。

パルボ騒ぎの7月入舎組は、子犬を中心に一部は譲渡候補として見学に来るお客さんに紹介しており、既に希望者さんも何組かおられます。※1野良犬がほとんどでしたので、寄生虫は様々おりました。他の多くはまだ人慣れから必要なので、離れた犬舎に数頭ずつで暮らしています。引取る前からの怪我があったり、皮膚病があったりしますが、根気よく治しながら少しずつ譲渡出来る状態になってくれたらなと思います。

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これから少しずつ寒くなっていきます。春に来た頃は少しずつ暖かくなっていく時でしたが、そうやって季節が変わる時は体調を崩す子も増えます。春は毎日便検査で残業していました。野良犬出身が多いため、東京では見る機会のなかった寄生虫もいろいろ見つかりました(でもこれがこちらでは普通)。今のところ落ち着いていますが、いつまた体調不良ラッシュが来るか分かりません。かく言う自分も先日食あたりで3日ほど何も食べられませんでした。ワンコが下痢の時、ごはん一回抜きという処置はよくありますが、食べたくても食べられないのは辛いですね。3日食べないと逆に空腹に慣れてしまいましたが。みなさんも、パートナーも、体調管理には十分お気を付け下さい。

7月のような愛護センターからの入舎ラッシュもまたいずれあるでしょう。例えば年末は職員が一斉に休みに入るため、去年は殺処分が一度に行われそうになり、大勢引取ることになったそうです。逆にこちらは休めなくなるというのが、今年もあるかもしれません。そうなったらシェルタースタッフも大変です。私も正月は帰れない宣言を実家にしておきました(笑)。

寒くなるのが早いのですぐ冬になってしまうかもしれませんが、好きな季節、神石高原の長袖の秋を楽しみにしつつ、今回の投稿を終わります。

※1 ピースワンコ診療所にてパルボウィルス検査後、陰性と診断しております。集団免疫の視点から、沢山集まる場所に行かれる場合は予防されることをお願いします。

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