人と異なり四つん這いで普段生活している犬や猫は肥満になると腹腔内脂肪により胸が圧迫され胸に入る空気が少なくなり1回の呼吸量が減る傾向にあります。また、胸の中の脂肪や肋骨外の皮下脂肪も呼吸するときに胸を膨らましにくくする要因になるのでこれも呼吸する仕事量を増やす原因になります。

実際のデータとして、正常な犬と肥満の犬の肺の機能を調べた研究が過去に報告されています。ここでは肥満犬群の呼吸機能が正常犬に比べ優位に低下していたという研究が報告されています。ここではさらに肥満犬にダイエットをさせることでその肺の機能は改善したという結果も報告されています。

Journal of Animal Physiology and Animal Neutrition 2018年12月号

 

ここまでは胸の中の話ですが、実は喉(上気道)にも脂肪がつきます。

短頭種や元々喉の構造が狭い子(チワワやポメラニアンなどの小型犬に多い)は少しでも喉に脂肪がつくと呼吸がしにくくなり、いびきをしたり、よく興奮したり動くとゼーゼー・ハーハーもしくはガーガーとなりやすく、暑さに弱い傾向があります。

ひどくなると睡眠時無呼吸症候群が起こります。ここに鼻炎や咽頭炎が絡むとかなり呼吸が辛い症状となります。

次回より呼吸器症状で来院しダイエットに成功して呼吸が楽になった実際の症例をご紹介します。

 

(呼吸器の他にも・・・)

報告されている肥満の好発疾患リスト

  • 糖尿病、脂肪肝、歯周病、関節炎(靭帯損傷)、クッシング、甲状腺機能低下症、尿石症、筋骨格、膵炎、呼吸器、上気道閉塞(気管虚脱含む)、腫瘍、皮膚炎、心疾患、高血圧、脊椎ヘルニア、腎臓病

Prevalence and Risk Factors for Obesity in Adult Dogs from Private US Veterinary Practices Elizabeth M. Lund, DVM, MPH, PhD1 P. Jane Armstrong, DVM, MS, MBA1 Claudia A. Kirk, DVM, PhD2 Jeffrey S. Klausner, DVM, MS1Intern J Appl Res Vet Med • Vol. 4, No. 2, 2006.

 

痩せるといいことたくさん

メリット1:メタボリックシンドロームの予防のために(肥満は高齢になってからの疾患のリスクがたくさん)今後の生活の質を上げるために

メリット2:減量すれば、関節の負担も減り運動量も多くなります。

メリット3:脂肪細胞を減らし、代謝が良くなれば食べれるご飯やおやつもの種類も増え、楽しみも増えます。

減量メリットを実感し、継続で目標達成につなげましょう。(目標達成には個体差があります)

当院は予防医療の面からも万病の元となる肥満改善のための検診やカウンセリングを推進しています。

また、病院で推奨しているダイエットフード・サプリメントもあるのでご相談ください。

院内で取り扱っているダイエットフードは以下の理由で推奨しています。

  • ストレス軽減考慮した配合(R)(セロトニン増加)
  • 低カロリー、高食物繊維で圧倒的なボリューム
  • 整腸効果や満腹感がアップ
  • 良質で適度なタンパク質量で満足度アップ
  • リバウンドしにくい代謝、体質改善効果(カルニチン配合)(H)