こんにちは。
自由が丘動物医療センター院長の寺村です。
腹腔鏡って良さそうだけど、実際のイメージはよく分からないという方も多いと思います。
そんな方のためにまず第一弾として、手術のイメージや傷の大きさについてお話をしたいと思います。
腹腔鏡と聞き、胃カメラのような器具でメスを全く入れない方法を想像される方もいらっしゃいます。
どちらも同じ内視鏡に分類されてはいますが、残念ながら腹腔鏡手術は体にメスを入れる必要があります。
胃カメラはメスを入れないので、そこは大きく違うといえます。
ただし、腹腔鏡の避妊手術を行う際は、直径5mm程度の小さな穴をお腹の2~3ヶ所に開けるだけですむので、開腹手術に比べるとかなり小さな傷で手術が可能です。
手術方法にはいろんなバリエーションがあります。
そこで、今回は当院で行っている代表的な2種類の手術方法を紹介します。
3ポート(3つの傷)で手術する場合
- カメラ
- 血管シーリングシステム(血管を熱で凝固させ、止血しながら切開する器具)
- 卵巣と子宮を吊り上げるための鉗子
この3つを別々に、お腹のなかに入れます。
傷の大きさはそれぞれ5mmです。
ただし一番後ろの傷穴から卵巣と子宮を取り出すため、その傷だけは動物の体格に合わせて大きくなる場合があります。




2ポート(2つの傷)で手術する場合
- カメラ
- 血管シーリングシステム(血管を熱で凝固させ、止血しながら切開する器具)
この2つを別々にお腹の中に入れます。
傷の大きさは各5mmです。
2ポートの場合もいちばん後ろの傷穴から卵巣と子宮を取り出すので、そのぶん傷は大きくなる場合があります。
3つめの傷穴を開けないことで鉗子を入れられず、その代わりに針と糸を使って卵巣子宮を吊り上げます。
このとき使用する針と糸はたいへん細いものなので、手術が終わればどこに針を入れたのか、ほとんど分かりません。


最近は工夫を重ねることにより、2ポートで手術することが多くなってきました。
ただし、腹腔内脂肪が多い場合や大型犬、高齢犬は3ポートで手術をしたほうがより安全で確実なこともあります。
卵巣や子宮の構造は意外と個人差が大きいので、2ポートと3ポートのどちらがベストなのかは手術中に最終決定します。
傷を少なくすることで負担も軽くしてあげたいですが、安全が最優先なので傷の数にはこだわりすぎないほうがいいでしょう。
腹腔鏡手術に関してこちらのページでも詳しく解説しているので、
興味のある方はぜひご参考ください。
http://www.vec-jygamc.com/medical-care/laparoscopic-surgery/