こんにちは。
GREENDOG東京ミッドタウンクリニック院長の井上です。
まだまだ朝晩は冷えこみますが、日中は少し暖かくなってきましたね。
私に関しては、眼の痒みや鼻詰りというなんとも迷惑なお便りで、春(花粉)の季節の到来を告げられています。
今日はそんな花粉についてのちょっとしたお話です。
口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome:OAS)って、ご存知ですか?
OASとは果物・野菜などを食べた際、10-15分以内に唇や口の中にかゆみ・腫れ・イガイガなどのアレルギー症状があらわれる疾患のことを言います。この疾患は、食材と花粉中の類似物質がアレルギーを起こす(交差反応という)ことから、花粉症との関連があるといわれています。
OASの考え方は 1987年に Amlotらにより提唱され、その後は花粉との交差反応で果物や野菜を摂取した際に生ずるアレルギー反応はpollen-food allergy syndrome(PFAS)とも呼ばれるようになっているようです。
実はこの症状、犬でも同じことが起こるといわれています。
少し古い論文ですが、トマトとスギ花粉の犬における交差性が見いだされています。
Oral allergy syndrome induced by tomato in a dog with Japanese cedar (Cryptomeria japonica) pollinosis. Fujimura M, Ohmori K, Masuda K, Tsujimoto H, Sakaguchi M. J Vet Med Sci. 2002;64:1069–70
この報告ではトマトとスギ花粉の交差性についての言及ですが、ヒトの花粉症の患者がOASを引き起こす野菜や果物は多岐にわたり、カバノキ科花粉(シラカンバ、ハンノキ)はバラ科果物(リンゴ、モモ、サクランボ)やマメ科、イネ科花粉(オオアワガエリ、カモガヤ)はウリ科果物(メロン、スイカ)、キク科花粉(ブタクサ、ヨモギ)はセリ科野菜などが判明してきています。
動物においても、トマトとスギのように交差性がわかっているモノもあることから、お野菜や果物をアレルギー体質の愛犬にあげる場合は注意が必要ですね。