昆虫、食べたことありますか?

私はあります。

こんにちは、GREENDOG東京ミッドタウンクリニック院長の井上です。

食べたことがある昆虫の種類は、蜂の子、こおろぎ、蚕の蛹、芋虫(何の幼虫かは不明)、ゲンゴロウ、蜘蛛など…
もちろん、普段から好んでポリポリ食べてるわけではありません。

大学生時代、長期休みの度にカバンひとつで世界中に飛び回っていた頃がありました。
その時に行った東南アジアの国々では、郷に入らば郷に従えの精神で、屋台で様々な食に挑戦しましたが、その中のひとつが昆虫食でした。

こおろぎ等を除けば、日本の食文化では見慣れない見た目に抵抗はあるものの、食べてみると案外イケる、と感じたことを覚えております。
(おすすめは蚕の蛹の佃煮です。お酒のあてにも…)

余談はさておき…

以前から、食用昆虫(ミミズ、イナゴ、コオロギなど)はエネルギー、タンパク質、脂肪酸、ミネラル、微量元素に優れ、動物にとっても高品質の食料源であることがわかっています。
近年では、既存の食事で食物有害反応を示す患者、ならびに生態学的、倫理的な関心のある患者にも新しい食料源としても注目されています。

※食物有害反応とは
食物が原因でおこる、身体にとって有害な反応の総称です。免疫反応が伴うものを特に食物アレルギー、免疫反応が伴わないものを食物不耐症といいます。こちらについてもまたご紹介しますね。

今回は、私が経験したような珍味としての昆虫食ではなく、食物有害反応の犬の療法食としての昆虫食の検討のお話です。

Effect of an insect protein-based diet on clinical signs of dogs with cutaneous adverse food reactions.
Böhm TMSA, Klinger CJ, Gedon N, Udraite L, Hiltenkamp K, Mueller RS.
Tierarztl Prax Ausg K Kleintiere Heimtiere.
2018 Oct;46(5):297-302.
「皮膚の食物有害反応を示す犬の臨床徴候に対する、昆虫蛋白質ベースの食事の影響」

この論文では、皮膚の食物有害反応が診断された犬20頭に、2週間市販の昆虫主体のご飯だけを与えた際の病変の変化を記録しました。
結果としては、病変スコア・被毛の質の改善は統計的にも有意に改善がされたが、痒みのスコアには有意な変化はなかった。
嗜好性は非常にいいようで、1頭の患者を除いて19頭でよく食べていた。
結論として、今回調査された昆虫タンパク質主体の食事は、食物有害反応の犬にとっては興味深い代替法になるのではないか。とのこと。

市販の、ということで犬用の昆虫食はもうあるようですね。
日本で手に入るのも近い未来かもしれません。
結果としてはまだまだ検討の余地はありますが、療法食の選択肢としてなり代わる可能性は秘めていそうです。

今後は、食物有害反応に悩む愛犬の救世主として、昆虫食が一般的になる日がくるのかもしれません…

昆虫食、皆さんはいかがですか?

Leave a reply

<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong> 

required

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください