鼻鏡検査で観察する領域
前部鼻鏡検査
細い内視鏡を使用して鼻腔内部を鼻の穴から観察する検査です。(外鼻孔〜後鼻孔)鼻腔内を詳細に観察することで、ポリープや腫瘍などの病変、異物や鼻腔の構造異常の有無を評価します。
後部鼻鏡検査
細い内視鏡を使用して鼻腔内部を喉の奥から反転させて鼻の後ろから鼻道を観察する検査です。(後鼻孔から鼻咽頭鼻道)前部鼻鏡検査では届かない領域へのアプローチが可能です。


適応症例
いびき様呼吸、くしゃみ、鼻汁、逆くしゃみ、鼻出血などが認められる症例や呼吸音から鼻腔狭窄・閉塞が疑われる場合
診断可能な疾患
腫瘍、異物、細菌性鼻炎、リンパ球形質細胞性鼻炎、真菌症、鼻咽頭ポリープ、鼻咽頭狭窄など
症例
くしゃみ、鼻汁を主訴に来院した6ヶ月のボストンテリアの症例
前部鼻鏡検査で異常鼻甲介(丸で囲まれた部位)を認め、良性鼻腔狭窄と診断された。

正常の前部鼻鏡検査画像(右)
鼻詰まり症状があり精査のために来院したチワワの症例

正常の前部鼻鏡検査画像(右)
鼻詰まり症状(鼻がブーブー言う)を主訴に来院した猫の症例 その1
レントゲンおよび後部鼻鏡検査を実施し鼻咽頭に腫瘤性病変を確認。内視鏡生検鉗子でなるべく腫瘤を除去し鼻道の狭窄を解除した。また、採取されたサンプルで病理組織学的検査を実施したところ鼻咽頭リンパ腫と診断された。


盛り上がっている腫瘤性病変(矢印)により鼻道が狭くなっているのが確認できる(左)。
内視鏡生検鉗子でなるべく腫瘤を除去し減容積を行い鼻道の狭窄を解除した後(右)(後鼻孔(=左右の鼻腔(矢印))が確認される)
鼻詰まり症状を主訴に来院した猫の症例 その2
レントゲンと前部鼻鏡検査ではわからなかった粘膜の凹凸を後部鼻鏡検査にて確認、内視鏡生検鉗子で生検して鼻咽頭リンパ腫と診断された

症例の後部鼻鏡検査画像:粘膜の凹凸を確認し内視鏡生検鉗子で採取している様子(右)
慢性鼻汁・鼻閉を主訴に来院したフレンチブルドックの症例
CTおよび後部鼻鏡検査を実施した。後部鼻鏡検査にてCTでは確認できなかった異物を確認し、内視鏡鉗子にて異物を除去した。
症例の後部鼻鏡検査画像:異物を確認(左上 丸で囲った部分)、内視鏡鉗子にて除去する(左下)。
除去後(右)取れた異物(枯葉)(右下)


慢性呼吸困難(努力性呼吸と労作性呼吸困難)を呈した猫の症例
レントゲン検査にて鼻咽頭に膜様の構造物が確認され鼻咽頭狭窄を疑い後部鼻鏡検査を実施した。後部鼻鏡検査にて鼻咽頭の狭窄が確認され手術にて狭窄を解除した。

症例の後部鼻鏡検査画像:鼻咽頭の狭窄(赤矢印)が確認されたため手術により鼻咽頭狭窄部位を拡張した(右)