猫フィラリア症は犬と同様に予防が重要な病気ですが、猫の場合、診断・治療が難しく、発症すると致命的となることが多いため、予防薬の通年投与が推奨されます。
Feline Heartworm Guidelines 2024年のアップデートも参考に、ご紹介いたします。
猫フィラリア症とは?
猫フィラリア症はフィラリア(糸状の寄生虫)による感染症で、蚊が媒介します。
犬と異なり、猫では寄生数が少なくても重篤な症状を引き起こし、突然死のリスクが高いのが特徴です。
1.感染の仕組み
- 感染犬の血を吸った蚊が、フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)を体内に取り込みます。
- その蚊が猫の血を吸う際に、皮下へミクロフィラリアを侵入させます。
- 幼虫は成長しながら血管へ移動し、最終的に肺動脈や心臓に寄生します。

2. 症状
- 猫の体内でフィラリアは成虫になりにくいものの、幼虫の段階でも肺や血管に重篤な炎症を引き起こすことがあります。
- 咳、呼吸困難、嘔吐、食欲不振、元気消失など
- 最悪の場合、突然死のリスクもありますが、早期発見は困難なため、予防が非常に重要となります。
猫フィラリア症の感染リスク
猫フィラリア症は、屋外だけでなく室内飼育の猫にも感染リスクがあります。
蚊は高層階にも飛来するためマンション10階でも感染報告があり、感染猫の約4割が室内飼育であったとの報告もあります。
日本国内での感染報告
- 37都道府県で94件の感染報告
- 北海道から沖縄まで感染報告あり
※2008年〜2024年2月実施ゾエティス営業員による聞き取り調査 - フィラリア幼虫に感染している猫は、約10頭に1頭という報告
※猫のフィラリア調査報告 Clinic Note No.55:34,2010
フィラリア症は呼吸不全、元気消失、食欲不振、嘔吐など様々な症状を呈すことがあり、重篤な場合は突然死もありえます。
完全室内飼育であっても慎重に、定期的な予防薬の投与が重要です。
猫フィラリア症を予防するには?
猫フィラリア症は、正しく予防薬を投与することで、ほぼ100%防ぐことが可能です。
投与期間目安
- 通年投与を推奨
- 誤った投与間隔や投与中断による感染リスクを最小化できる。
- 一時的な気温低下による油断が感染リスクを高める。
- 「冬場は予防不要」と考えて投薬を中断すると、感染リスクが増大※Feline Heartworm Guidelines2024
- 予防薬にはスポットタイプ(首元に滴下)がお勧めです。

猫フィラリア症の検査について
猫は犬と違い、フィラリア感染の診断が難しいため、予防が最優先となります。
検査方法
- 抗原検査:成虫の存在を確認
- 抗体検査:フィラリアに感染した形跡がないか
- 超音波検査:心臓などにフィラリアの成虫がいないかを確認
ただし、猫は検査での診断が難しいため、定期的な予防が最も有効な対策です。
猫フィラリア症予防薬の処方について
- GREENDOG東京ミッドタウンクリニックをはじめ、ベックジャパン動物病院グループすべてで実施可能です。
- 当グループは完全予約診療ですので、基本的にはお待たせすることなくご案内可能です。※前後の急患対応などにより、お待たせする場合もございます。
- 東京ミッドタウンクリニックではLINE、HPからの予約も可能ですのでこちらも併せてご利用ください。(Wonder)
- 検査、予防薬がお安くなるキャンペーンも実施中ですので(【お知らせ】春の狂犬病予防接種&フィラリア予防キャンペーンが始まりました〜‼️ – ベックジャパン動物病院グループ)、お気軽にご相談ください。
文責 GREENDDOG東京ミッドタウンクリニック 院長 井上慎也