Respiratory
呼吸器科
犬や猫の呼吸器疾患は、獣医療の中でもまだ十分に解明されていない領域のひとつです。しかし、咳や呼吸困難といった症状は、動物たちの生活の質を大きく損ない、時には命に関わる重大な問題へと発展することもあります。
当院では、最新の医学情報を常に取り入れながら、一頭一頭の状態に応じた最適な検査・治療方法をご提案いたします。問診、身体検査、画像診断、必要に応じた特殊検査を通じて、正確な診断と根拠に基づいた治療を心がけています。飼い主様とともに最善の医療を選び、動物たちが少しでも快適に過ごせるようサポートいたします。

愛犬愛猫(パートナー)のこんなトラブルで悩んでいませんか?
犬・猫の呼吸器に関するよく見られる症状
- 苦しそう
- 鼻水がでる
- くしゃみ
- 息が荒い
- 発作あり
- えずく・オエーという
- のどになにか引っかかる
- ブヒブヒ言う
- 咳が止まらない
- 気管虚脱といわれた
- 開口呼吸する
- 眠れない
- 睡眠時無呼吸がある
- いびきがひどい
- すぐにガーガー言い始め歩くのが遅い
- 胸が大きくうごく
- カーッというような吐き出すような仕草がある
- おじさんのような咳をする
- 首を伸ばす
- じっとして動かない
- ずっとハーハーしている
- 肩で息をする
- ヒーヒー言って苦しそう
- 元気がない
- 吐く
担当獣医師・スタッフのご紹介
診療内容
患者様、動物たちに寄り添った診療・治療をご提案いたします。
主な呼吸器の検査内容
問診と身体検査
問診
飼い主様より、それまでの経緯や現在の症状に関してのお話を伺います。
身体検査
呼吸状態の視診、聴診、触診を行います。
※院内で症状の確認が困難なことがあるので症状の動画をあらかじめ用意・ご持参いただけると診断の助けになります。

血液検査(CBC及び生化学検査、CRP測定(炎症マーカー))
貧血や炎症の数値の確認、肝臓や腎臓をはじめとする臓器の働きを調べ、呼吸器疾患に合併している病気の有無を確認します。
必要に応じて、甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンといった内分泌ホルモンの検査や凝固検査を行うことがあります。

頭部・胸部レントゲン撮影
頭部
咽頭気道(おもに鼻からのどにかけて)と頸部気道の構造の評価を行います。
胸部
気道、肺、心臓を調べます。吸気と呼気の側面像と背腹像を撮影します。

循環器評価
必要に応じて血圧や心臓超音波検査を行います。呼吸器が心臓の働きに影響をどのように及ぼしているか、また心臓の病気から呼吸器症状が生じているのかを評価します。

頸部、胸部超音波検査
超音波で肺の状態を確認します。胸腔内にできものが疑われる場合、もしくはお水が溜まっている場合や、喉頭(のど)の動き、構造の評価にも使用されることがあります。
動脈血液ガス分析(肺の機能検査)
動脈血の採血を行い、動脈中の酸素分圧、二酸化炭素分圧などを調べます。「肺がいかに良く動いているか」という肺機能の包括的指標となります。
レントゲン画像や症状で気になる異常を、肺の機能面で評価できます。
手術前の肺機能の評価(麻酔前のリスク評価など)としても利用できます。
適応
- 高齢(肺の機能チェック)
- 肺が白っぽいと言われた
- 疲れやすい
- 呼吸器症状がある(咳、呼吸が早い、呼吸困難がある、元気がない、寝れないなど)
- 太っている(重度な肥満も呼吸機能を低下させます)

喉頭鏡検査(鎮静、もしくは麻酔下にて実施)
細い内視鏡で喉の部分(喉頭)を観察します。感染や異物、炎症(浮腫、腫脹)、できもの、癒着による狭窄や粘膜の異常がないか、動きに問題がないかを確認します。

鼻鏡検査(前部鼻鏡検査・後部鼻鏡検査)(麻酔下にて実施)
細い内視鏡で鼻や鼻から喉につながる範囲を観察します。感染や異物、炎症(浮腫、腫脹)、できもの、癒着による狭窄や粘膜の異常がないか確認します。
鼻の前方を観察する前部鼻鏡検査と奥の方を観察する後部鼻鏡検査があります。

前部鼻鏡検査
細い内視鏡を使用して鼻腔内部を鼻の穴から観察する検査です(外鼻孔〜鼻腔内)。鼻腔内を詳細に観察することで、ポリープや腫瘍などの病変、異物や鼻腔の構造異常の有無を評価します。
後部鼻鏡検査
細い内視鏡を喉の奥から反転させて鼻の後ろから鼻道を観察する検査です(後鼻孔から鼻咽頭)。前部鼻鏡検査では届かない領域へのアプローチが可能です。

(鼻腔の広さにより個体差があります)

気管支鏡検査(麻酔下にて実施)
細く柔らかい内視鏡を口から入れて、喉頭から気管、気管支を内視鏡(気管支鏡)で観察する検査です。動物の場合、全身麻酔が必要です。レントゲンやCTでは評価が困難な粘膜の異常や病変の検出に適しています。肉眼的観察に加えて、ブラシ生検(菌の検出、感受性検査、細胞診)や気管支肺胞洗浄(BAL)※を組み合わせて行うとより多くの情報が得られます。
- 気管支肺胞洗浄(BAL)とは
気管支を介し、肺のある限局された領域の肺胞全体まで到達するだけの十分量の生理食塩液を注入し、ただちに回収して分析する検査です。その回収液には、末梢気道や肺胞表面に存在する血液・免疫細胞や病原菌が含まれ、びまん性間質性肺疾患や気管支肺炎の病態を反映します。

CT(麻酔下にて実施)
鼻腔から肺までの構造の変化や異常がより詳しく確認できます。レントゲンではわかりにくい骨で囲まれた鼻の中のできものや異物、肺の中の小さな腫瘍や線維化病変、気管支炎病変などを確認することができ診断の大きなヒントとなります。

胸部CT画像(右)


高濃度酸素室
低酸素状態で緊急性の高い場合や高酸素治療が適応される疾患の場合に使用されます。酸素が足りなくて呼吸が苦しい状況を楽にしてあげることができます。
必要に応じては、自宅での酸素室の設置もご案内させていただきます。

ネブライザー
ネブライザー(吸入器)を使用した吸入療法により鼻腔や咽頭、喉頭や頸部気道といった上気道の痛みや腫れを局所的に緩和します。また、気管支や肺といった末梢気道の炎症性疾患の治療にも使用されます。
慢性呼吸器疾患のメンテナンスとして自宅で購入していただき使用してもらうこともあります。その際には症状に合った吸入薬を処方させていただきます。(貸出も行っております。)

定量噴霧式吸入器(MDI)エアロチャンバー
吸入療法は注射とは異なり痛みを伴わない治療で、内服薬同様在宅でも行える治療です。長期的にステロイド内服が必要な呼吸器の疾患を持つ症例において、MDIを使ったステロイド吸入投与で内服量の減量や投与期間の延長・中止が可能になることがあります。全身への副作用のリスクを抑えた効果的な局所療法と考えられています。
適応疾患
- 猫喘息、犬の慢性気管支炎、頸部気管虚脱など

ご予約・お問い合わせ
すべての家族、すべての子にそれぞれの答えがあると思います。
根拠のある情報とホスピタリティをもって、真摯にアドバイス、治療をさせていただきます。
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