小型犬の左足前十字靭帯断裂とパテラ(膝蓋骨脱臼)グレード4の症例

症状

患者データ

  • 犬種:MIX(チワワとマルチーズ) 
  • 年齢:5歳齢
  • 体重:3.5kg
  • 性別:女の子

主訴

左の後ろ足を地面に着けることができず、片足でケンケンしながら歩く様子。
以前から左足の膝蓋骨(膝のお皿)が安定せず、ずれる傾向があり。

検査

検査内容

  • 問診(臨床症状や歩様の確認)
  • 身体検査(触診、整形外科的検査)
  • レントゲン検査

検査結果

整形外科的検査とレントゲン検査の結果、左側の前十字靱帯断裂パテラグレード4と診断しました。

前十字靭帯とは

前十字靭帯断裂した影響によりと脛骨(すねの骨)が前方に移動してしまっている。

膝関節内で大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)を結ぶ太い靱帯があり、脛骨(すねの骨)が前方に移動するのを防ぎ、膝関節を安定させる働きをしています。
前十字靭帯が断裂すると脛骨(すねの骨)が前方に移動し、歩く際に支える力がなくなってしまい、そのため違和感などで片足歩行になる傾向があります。

パテラグレード4とは

膝蓋骨が脱臼しセンターからずれてしまっている。

膝蓋骨が常に脱臼しており、手で押しても元に戻らない状態です。
このまま放っておくと、後ろ足をつけずに歩いたり、うずくまるように歩いたり、軟骨がすり減り続ける、関節包が肥厚する、大腿骨や脛骨がねじれ変形を起こすなど、症状が悪化する傾向があります。

治療・手術

脛骨高平部水平化骨切り術:TPLO

TPLOは小型犬から大型犬にも対応できる強力な術式です。
本来傾斜のある脛骨高平部を骨切りし回転して水平にすることで、 体重をかけた時に大腿骨と脛骨がズレないようにする術式です。

レントゲンのように、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)が正常な位置にもどされ、体重をかけても大丈夫なようになりました。

今回のような小型犬でも小さなプレートを用いることで、手術は可能です。

TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)、ATT(脛骨粗面前進化術)、または古くからの術式である関節外方(ラテラルスーチャー術)のどれを選ぶかは、飼い主様と話し合いのもと決めていきます。

滑車溝造溝術

滑車造溝術(ブロックリセッション):大腿骨滑車溝を深く形成することで、膝蓋骨が脱臼しづらくなっています。

経過および検査

入院期間

手術後、平均して2泊3日で退院できます。
犬種・体重、状態によって入院期間が異なることがございます。

安静と活動制限

術後は約6~8週間ケージレストを行い、過度な運動を避けます。
散歩も短時間で、リードをつけた状態で行っていただきます。

定期的な通院

退院したあと、また2週間後に診察し様子を伺います。

その後は1ヶ月ごとに通院していただき、レントゲン検査や触診にて様子を確認します。
通院のたびに、気になることや不安に思っていることなどあればご相談を受け今後の方針を話し合います。

側面からの撮影

左:術後2ヶ月、中:術後1ヶ月、右:手術1週間、骨を切断した切れ目が結合してきていることが確認できる。

前面からの撮影

左:術後2ヶ月、中:術後1ヶ月、右:手術1週間、骨の切れ目が結合してきていることが確認できる。
膝蓋骨の位置が真ん中に安定しており、だんだんと上に上がっていく様子が分かる。

整形外科について

整形外科担当スタッフ